私たちは月2回、満月と新月の日の大潮に海水を汲み上げます。
なぜなら潮の動きが大きく活発化して潮位が上がるこのタイミングは、海のミネラルがたっぷりだから。こうして汲み上げた海水から手間ひまかけてつくるお塩は、1粒残らず海からいただいた宝ものだと思っています。
中でも、思い入れが深いのは一番塩「まあるい塩」。1000℃の釜で海水を炊いて不純物を丁寧に取った後、平窯にうつして低温でじっくりと塩を結晶化させます。火入れして5時間、最初に浮き上がってくる結晶をそっと掬い上げると、ふわり湯気が立ち上ります。
塩づくりの仕事のなかでも、ひときわ喜びに震える瞬間、海の神さまに手を合わせるような気持ちがします。一つとして同じかたちをしていない結晶の美しさは、私たちが誇る五島の自然の恵みです。