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見てください、夫・南慎太郎の満面のドヤ顔。これは私の兄・犬塚拓郎の定置網漁にかかったアオリイカです。漁師である兄は虎屋の飲食店、島diningとらやの真ん前の海で定置網漁をやっているので、慎太郎さんもときどき漁の手伝いに行きます。私・南こころは兄1人、妹3人、弟2人の7人きょうだいなのですが、今回は「みんなのお兄ちゃん」こと拓兄(たくにー)に、有川湾の定置網漁について語ってもらいましょう。
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こんにちは、犬塚拓郎です。皆さん、定置網漁ってわかります? ザラ紙に描いて説明しましょうか。

定置網は魚を追いかける漁ではなくて、網に入ってくるのを「待つ」漁です。魚を通せんぼする「道網」を張っておいて、網にぶつかった魚を「運動場」に誘導します。運動場を回遊した魚は行き止まりの「箱網」に入り込むので、その網を手繰り寄せて船に魚を揚げます。
何がいいって、まず餌代がかからんやないですか。魚を追いかけ回さんでも、次の日の朝、魚が網に入っとるもん。「今朝は何の魚が泳ぎよるかな」と玉手箱を覗くような楽しみがありますよ。カンパチ、マアジは7月いっぱいまでが旬、イカは通年獲れます。今朝の満足度は10段階の8かな。高級魚のシマアジ、イシダイ、タコやら入ってるといいねえ。この前は、111kgもあるマカジキが入って、テンション上がりましたよ。

有川湾は海岸線や潮流、海底の地形が適しているおかげで、昔から定置網漁が盛んです。いろいろな魚が湾内に入り込んできます。きっと、魚にとってよかとこなんでしょうねえ。ただ、最近は海水温が上がったせいか海藻が減り、魚の種類も変わってきました。自然のことなのでわからないことがいろいろありますね。
父・虎夫が「3年は出ずに、島のことを知ってほしい」って言うもんやから、僕は高校を出てしばらく父の製麺所を手伝いながら漁をしました。島外に出た時期もあったけど、上五島で漁をするのももう30年になるかな。今の漁場も網も知恵も、70〜80歳まで漁を続けてきた先輩たちから譲りうけました。僕は体が動かなくなるまで、この海で漁師ばやりたいなと思いようとですよ。
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慎太郎さんは、「お兄さんの魚は鮮度が抜群!魚が好きな漁師だから扱いが丁寧で、いいものを分けてくれる」といつも言います。そういえば、拓兄は昔から手先が器用な工作名人でした。兄妹が机を並べて勉強していたら、カップラーメンの空き容器でロープウェーを作って、それに消しゴムを入れてシューッと運んで貸してくれたなあなんて思い出します。仕掛け上手なんですよ。(こ)
