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更新日:8 時間前

あけましておめでとうございます。いつも「五島暮らし」をご愛読ありがとうございます。今年も細く長く続けてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年は漁の名人たちの話に大きな反響をいただきました。新年は久しぶりに、私、南こころが島のおやつ「かんころ餅」についてお話しします。かんころとは、干し芋のこと。薄く切って網でさっと焼いて食べる、冬ならではの素朴なおいしさです。
北風が吹く11月になると、島ではサツマイモの収穫が始まります。昔は年末に向けて、多くの家が干し芋と餅米を練り合わせた「かんころ餅」を作っていました。
父(虎屋の創業者・犬塚虎夫)や祖父は芋で育った世代。今でも古い家の畳を剥ぐと、床下から芋がま(サツマイモを貯蔵するために掘った穴)が出てくることがあります。五島では米よりも芋が暮らしの中心だったんですね。餅米の“かさまし”に芋を入れて、かんころ餅を作ったのだろうという話も聞きました。
私が小学生の頃は、学校に行く道すがら、ばあちゃんたちが薄く切った芋を網に並べて干す姿をよく見かけました。海べたでこの景色を見ると、ああ、かんころ餅の季節だなあって。

年の暮れが近づくと、近所の人や親戚が「次の日曜にかんころ餅ば搗くよ」と声を掛け合って集まり、多い時は100本ほど作ります。餅米を蒸す人、芋を蒸す人、餅米と芋を練り合わせる人、餅を伸ばす人、みんなで手分けしてわいわいと。私は、ばあちゃんやおばちゃんの家に手伝いに行って、餅を丸めるのが楽しみでした。
搗きたてのかんころ餅は、ほわり、やわやわ。冷凍したものやお土産用の真空パックのものは焼き戻して食べますが、搗きたてはその場で焼かずに食べるのが一番の贅沢です。

私が子どもの頃、両親はうどんの仕事が忙しく、かんころ餅を作る余裕がなかったんですね。うどんを買いに来たお客さんが「おやつに1本置いてくね」と言ってくれるのがありがたくて。ごま、生姜、よもぎ、紫芋……家ごとに素材のバリエーションがあるんです。小豆あんを包んだものが好きで、「あんころ餅」と呼んでいました。
いつしか私が子育てをするようになって、娘たちが幼い頃、初夏に芋を植えて秋に掘り出し、干して、かんころ餅を一緒に作ったことがありました! 当時、虎屋の製麺工場で働いていた方に機械や道具をお借りして、手取り足取り教わりました。初めて親子で作ったかんころ餅の味は忘れられません。
今では、かんころ餅作りに集まる風景はあまり見かけなくなりました。それでも時々、「かんころ餅ば搗いて島外の親戚に送るから、うどん30束配達して」なんて注文が入ることもあって、うれしくなりますね。かんころ餅とうどんは、新年のご挨拶につかっていただくことが多いんですよ。
「冷凍庫にかんころ餅入れてたっさ」が集合の合図。正月には島外から帰ってきた娘たちと、こたつで焼きたてを食べるのが楽しみです。ねっとり甘くて、香りはふんわり。「生姜入りもおいしいよね」なんて、娘たちもいっぱしの大人になったものですね。(こ)











